皿鉢料理
大皿に盛り込まれた海・山・川の幸。これぞ土佐の名物・皿鉢料理。 豪快さが魅力の皿鉢料理は、土佐の宴に欠かせない存在。 皿鉢料理には、人と人とを結ぶ大切な意味もあるのです。

皿鉢料理が土佐の宴を飾る
土佐の宴を彩る皿鉢料理。
冠婚葬祭から仲間内の飲み会まで、土佐の宴会には皿鉢料理が欠かせません。大皿に盛り込まれるのは、土佐が誇る海・山・川の幸。新鮮な大自然の恵みが所せましと並んでいます。見た目も豪快なら、皿鉢料理はその食べ方もまた豪快。主人や客の区別なく、誰もが好きなものを取って食べればよいのです。皿鉢料理を囲み、共に酒を飲み交わす。人と人との絆を深める大切な意味合いも、皿鉢料理には隠されているのです。
皿鉢料理とは?
皿鉢料理とは、大皿に海の幸や山の幸を豪快に盛り合わせた料理のこと。皿の大きさは小さいものでも30cm、大きいものでは1mを超えるものもあるというから驚きです。盛り付けの基本は「生(刺身)」「寿司」「組みもの」の3種類。大自然の恵みがところ狭しと盛り付けられ、大皿から溢れんばかりになっています。とは言え、皿鉢料理に細かい決め事は一切なし。その大きさから盛り付けまで、地域や家庭によってこだわりが見られるのも魅力の一つ。南国土佐ならではの自由で豪快な料理です。
皿鉢料理の基本
生(刺身)―黒潮がもたらす、新鮮な海の恵み
皿鉢料理の基本の一つは、生(刺身)。
イサキ、マグロ、ヒラメなど、四季折々の黒潮の恵みが皿鉢料理を彩ります。おめでたい席を華やかに飾る鯛の姿造り。土佐ならでは、鰹のたたきも欠かせません。新鮮な海の幸を豪快に味わう―。まさに南国土佐ならではの贅沢です。
寿司―ハレの日を飾る土佐の味
皿鉢料理を飾る土佐の味覚がもう一つ。それがお寿司です。お寿司は古くから、ハレの日に欠かせないごちそうとされてきました。中でも一際目を引くのは、頭から尾まで鯖を一匹まるごと使った「姿寿司」。山菜やこんにゃくを使った「田舎寿司」も、土佐ならではの味覚です。
組みもの―作り手のこだわりが生きる、料理のアート。
皿鉢料理で忘れてはならないのが「組みもの」です。組みものとは、煮物や揚げ物、酢の物やデザートまでが盛りあわされたもののこと。あまりの豪華さに、どれから食べようか迷ってしまいそう。それはまさに料理のアート。そこには料理人のこだわりと技が生きています。
皿鉢料理の歴史
皿鉢料理はもともと、収穫祭などの農耕儀礼の際に食されてきた料理でした。神のご加護によって豊に育った作物を一つの皿に盛り込み、神と人とが共に食べる。そのような意味合いがあったのです。集落でこのような儀式が行われる際には、家ごとにその年よく出来た作物を持ち寄って皿鉢料理を作ることもあったそう。皿鉢料理を共に作り共に食すことで、仲間意識や総合扶助の関係を築くことができたのです。江戸時代頃からは、正式な儀式食である本膳料理の後の宴席に出され、堅苦しさをなくす目的も担っていたといいます。もともと皿鉢料理のような形式は全国各地にありましたが、土佐以外の地域では次第に見られなくなっていき、「皿鉢料理=土佐料理」として定着することになったようです。
土佐人に愛される皿鉢料理
皿鉢料理が土佐料理として定着したのは、そのスタイルが土佐の人々にぴったりと合っていたから。何しろ土佐の人間は宴会好き。事あるごとに集まって酒を飲み交わします。そんな宴会の席にぴったりなのが皿鉢料理。誰もが大皿から好きなものを取って食べればよいので、人数の増減があっても、席を移動しても融通が利きます。新たに料理を追加するために女衆が席を立たなくていいのも魅力。そしてなんと言っても皿鉢料理は、堅苦しさをなくし、仲間意識を芽生えさせてくれるもの。主人も客もなく賑やかに盛り上がるのが大好きな土佐人にとって、これほどぴったりな宴会料理はないのです。


